C-C-B / 時代を先取りしていた唯一無二のロックバンド

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今回は80年代に活動した日本のロックバンドC-C-Bを紹介します。

世間的には『Romanticが止まらないが売れたアイドルバンド』としてのイメージが強いと思います。しかし電子ドラムのシモンズやキーボード・シンセサイザーに囲まれて演奏するなど先進的でありながら、個々の演奏技術も高くインストゥルメンタルの曲があったりと本格的なロックバンドなんです。当時としては珍しいラップ調の曲をシングル曲として発表もしていました。

また全員が作詞・作曲・編曲できたうえに演奏しながら歌えるため、1曲の中でもボーカルが入れ替わり、アルバム収録曲にはメンバーオリジナルの曲も多く名曲がたくさんあります。

C-C-Bとの出会い

10歳当時、観ていた音楽番組から、まさに『目に飛び込んできた!』カラフルな髪色でドラムを叩きながらヘッドセットで歌っている姿。『歌手はマイクを手に持って唄う人』と思っていたところに、全員が楽器を弾きながら唄い、コーラスしている場面に衝撃を受けました。このときから『ボーカルが複数いるバンド』を好んで聴くようになり、後々TOTOやCHICAGOにたどり着きます。

当時はカセットテープのアルバムをお年玉を貯めながらこつこつと集め、毎日のように聴いて「今日は〇〇」とメンバーを固定して『エアバンドしながら唄って』いたので、今でも歌詞はもちろんギターソロやベース、ドラムのフレーズまで覚えています。

メンバー

渡辺 英樹(ベース・ボーカル 作詞・作曲)

結成時のメンバーでリーダー。声質は中・高音域でバラードからロックまで歌いこなします。C-C-B結成前にベーシストとしてプロデビューをしていました。当初ベースを胸の高さで弾くスタイルでしたが、後期4人編成になったタイミングから腰の高さで弾くスタイルに変わっています。

バンド結成時から作詞、作曲を手掛け初期のアルバムにもオリジナル曲が収録されています。自作曲は内省的な詩・メロディーが多いですが、歌声は力強くコーラスがリードボーカルよりも大きいなんてことも。

笠 浩二(ドラムス・ボーカル 作曲)

結成時のメンバーで『C-C-Bといえば!』のピンクの髪とメガネ、ハイトーンボイスがトレードマーク。バンドのマスコットキャラクター的な扱いを受けていましたが、高校時代からコンテストでベストドラマー賞をとるほど本格的なドラムを叩きます。音楽番組ではなかなか見れませんが、ライブでのドラムは最高にカッコいい!

米川 英之(ギター・ボーカル 作曲・編曲)

『Romanticが止まらない』リリース前年に加入。音楽スクールの2年課程を1年で修了したほどのギター小僧で関口誠人在籍時はギターメインでしたが、脱退後はメインボーカルも増え低音域の甘い歌声を聴かせてくれます。最近では矢沢永吉さんのバックバンドでも活動しています。

作曲、編曲も多く行っていますが、当時の楽曲では特に本人が好きだと公言しているTOTOやルカサーの影響をとても感じ、わたしが好きな曲は米川作曲、編曲の曲が多いです。

田口 智治(キーボード・シンセサイザー・ボーカル 作曲・編曲)

米川同様、『Romanticが止まらない』リリース前年に加入。渡辺、笠とは高校時代から交流があり、C-C-B加入前にはプロデビューしていて、近藤真彦の専属バンドとして武道館で演奏しています。

当時(今でも?)珍しい、ライブでは左右と後ろに3~4台ずつのキーボード、シンセサイザーに囲まれて演奏しています。実は演奏中に手早く設定を変えることが苦手だったため、音色を設定済みのキーボードを周囲に配置していたそうです。

関口 誠人(ギター・ボーカル 作詞・作曲)1987年脱退

結成時のメンバーで初期より作詞・作曲をしてオリジナル曲がアルバムに収録されています。当時の音楽番組では一部のコーラスを披露することが多かったですが、英樹・笠の高音域との対比で特徴ある低音域の声質。

ピアノやサックスも演奏したり、他に小説の執筆や俳優業、他アーティストへの楽曲提供など活動が多岐にわたるようになったことと、目標としていた自作曲がシングルカット(8thシングル 不自然な君が好き)されたことで脱退します。

アルバム毎のオススメ曲

C-C-Bの曲は『Romanticが止まらない』はじめシングル曲は聴いたことがある人も多いと思いますが、アルバム収録曲にこそ名曲が多数あります。その中から是非聴いてもらいたい曲を紹介します。

※1stから3rdは当時手に入らず、聴きこんでいないため4th以降の紹介となります。

僕たちNO-NO-NO(4th)

『Romanticが止まらない』ヒット後の勢いそのまま、収録曲の半数をメンバーオリジナル曲が占めているアルバム。シングル曲『Lucky chanceをもう一度』、関口のオリジナル曲『噂のカタカナボーイ』はこの時期では異色のロック調、『アニメのようなA.B.C』は関口作詞、米川作曲で英樹と笠ボーカルという「これぞC-C-B!」とも言える1曲です。『空想Kiss‐2』はシングルとは違う関口のソロバージョンですが、個人的にシングルよりも「2」を先に聴いていたのでこちらがしっくりきます。

冒険のススメ(5th)

絵の浮かぶ関口の作詞、10曲中7曲でメンバー単独作曲、米川と田口の単独編曲作が収録されるなど、メンバーの音楽性がより反映された作品。関口作詞・作曲の『流星のラスト・デート』はC-C-Bバラードの代表作、『涙はNO THANK YOU』は関口の小説的な詞と米川作曲・編曲で個人的に5人体制時では一番好きな曲。『冒険のススメ』は関口、笠、英樹のボーカルと短いながらもプログレ的な米川の編曲でC-C-Bロックが聴けます。

愛の力コブ(6th)

レコード・カセット版とCD版で収録曲数が違うという、関口脱退前の最後のアルバム。ちなみにわたしはカセットだったので、一番聞きたい『ないものねだりのI want you』が聴けなかった(涙)。初めてテレビで聴いたときは「喋ってる?」と思いながらも、英樹のラップに関口が合わせてコーラス、関口から笠の流れと頭から最後までカッコいい演奏で一発で好きな曲になりました。

アルバムタイトル曲の『愛の力コブ』は田口作曲・編曲のプログレ風でライブでは演奏のカッコ良さが際立つ曲で、『ハートブレイク・カラー』は関口作詞、米川作曲・編曲で米川が初めてボーカルをとった曲です。

石はやっぱりカタイ(7th)

4人体制での最初のアルバム。今作から全面にグッと出てきた米川の低音ボーカルは関口と比べても遜色なく、音楽性もこれまでよりロック色が強くなっているのが特徴です。この中からはライブのオープニングにぴったりな『B・I・N・G・O』、英樹と米川のツインボーカル『風のラリー』、笠作曲、ボーカルで独特な雰囲気の『展覧会の絵』、小学生ながらに「これがハードロックか」と思ったこれも英樹と米川のボーカル『HARD ROCK dream』、米川が作曲・編曲してボーカルをとる『青いブランケット』などバラエティーに富んだ作品です。

走れバンドマン(8th)

『Cyber-Commander』は未来的な歌詞とアレンジに本格的なブラスアレンジが施された異色の1曲、『プリマドンナ』は笠作曲、米川編曲のさわやかな曲ですが、間奏とアウトロでのギターソロはルカサー色が出ています。『Velvet Touch』はC-C-B唯一の米川と笠のツインボーカルで、これも未来的なロックアレンジになっています。

特筆すべきは全編インストの『走れバンドマン』で、小学生当時は歌がないのでつまらないと思っていた曲ですが、米川の影響で好きになったTOTOがこの数年後に『Jake to the Bone』というインスト曲を発表します。実は曲の構成がとても似ていてTOTOよりも早く20代半ばでこれを制作、演奏していたC-C-Bがとんでもないバンドだったんだと認識が改まり好きな曲になりました。

信じていれば(9th)

作詞3曲以外は全曲メンバーオリジナルの最後のアルバム。『Helter Skelter』は笠作曲・ボーカルのライブ映えする1曲、『Born in the 60’s』は英樹と米川のツインボーカルでライブ定番のロックナンバー、『信じていれば』は英樹、笠、米川のトリプルボーカルでバンドの集大成のような曲。『Blue Guitar』は米川作曲・編曲、ボーカルで成熟したAORを思わせる曲です。

まとめ

解散時での4人の演奏スキル、歌唱力、クリエイティビティはバンドとして最高なものになっていたのではと個人的に思うので解散はとても残念です。逆に全員のレベルが高いだけに若いときは譲れないものもお互いにあったのでしょう。

2015年の再結成ツアー発表はとても嬉しく、わたしも沖縄から参戦したいと思っていました。勝手な想像ですが、これを機に新曲制作・発表し本格的に現在のC-C-Bが復活すると思っていただけにショックと喪失感はとても大きかったです。

ただのアイドルバンド、一発屋ではない、実力派バンドであったという正しい評価を受けてほしいと願っています。

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