今回はわたしが一番好きなドラマー、Simon Phillips(サイモン・フィリップス)を紹介します。スタジオ・セッションミュージシャンとして数多の一流ミュージシャンのレコーディングやライブに参加していましたが、以前紹介したTOTOに伝説のドラマー、ジェフ・ポーカロの後任として加入しバンド解散の危機を救い、以後20年以上在籍しました。ロックはもちろん、ジャズ・フュージョン・ヘヴィメタルなど幅広いジャンルで高い演奏力を誇り、ルカサー同様TOTOの多様な音楽性には欠かせないドラマーでした。
サイモンのドラムの特徴は要塞のようなドラムセットをとても一人で叩いているとは思えないような、手数の多さでドラムソロがメロディを奏でていると思うほど。またライブで感じたのはとてもパワフルで体中に響くということ、タイトル通り超絶技巧派でありながらパワフルなドラミングが特徴です。
サイモン・フィリップスとの出会い
サイモンのドラムを初めて聴いたのは、スティーブ・ルカサーの2ndアルバム『Candyman』でした。その中の1曲『Party In Simon’s Pants』という疾走感のあるカッコいいインスト曲ではルカサーのギターよりもドラムがフィーチャーされていて2バスの連打と手数の多さで一気に引き込まれました。さらに次の曲『Borrowed Time』はルカサー屈指のバラード曲なんですが、そこでのレイドバックしたドラムを聴くと「同じ人が叩いているの?」と思ったほど。
決定的に好きになったのは、TOTOのREUNIONツアー’99の千秋楽を東京国際フォーラムで観たときです。2階席のかなり上段に座って、初めてのTOTOが観れるという興奮と緊張を吹き飛ばすほどに体中を震わせるドラムが強烈でした。
更に中盤のドラムソロではとてもドラムだけとは思えないほどの『多彩な音色がメロディを奏でている』、これまで聴いたことのないドラムソロで一気に引き込まれました。このドラムソロの一部はライブアルバム『LiveFields』内で聴くことができるので是非聴いていただきたい。わたしは一時期この部分だけをリピートして聴いていました。
お勧めのアルバム・曲
サイモンは父親の影響で3歳からドラムをはじめ、12歳頃にはプロミュージシャンとして活動をスタートしたそうです。この頃はジャズが主だったようですが、以降はハードロック、ヘヴィメタル、フュージョンと幅広い分野のライブ、レコーディングに参加して確固たる地位を築きました。
ミック・ジャガーやジェフ・ベックのロックレジェンドの他、日本のアーティストの参加アルバム・曲の中から聴いていただきたい物を紹介します。
Symbiosis(1995)~ソロ作
TOTO加入後に発表されたオリジナルアルバム。ドラマーのソロアルバムを聴いたことがなかったわたしは衝撃を受けました。ギターやキーボード、サックスがメインでフュージョン寄りのメロディアスな楽曲が揃っています。ドラムが前面に出てくるわけではないのですが、細かなハイハット、シンバル、タムでリズムを刻み、ここぞという場面ではツーバスの連打やタム使いで一聴してサイモンのドラムと分かる展開。ドラマーとしてだけでなく、作曲やアレンジ面での才能を発見できた個人的に一番好きなソロアルバムで完成度の高い一枚です。特に好きな曲は『Symbiosis』、『Biplane to Bermuda』、『Indian Summer』です。
There and Back(1980)~ジェフ・ベック
サイモンが20代前半でレコーディングに参加し、ドラムのみならずアルバムの半分で作曲にもクレジットされている三大ギタリストの一人ジェフ・ベックの3枚目のソロアルバム。全曲インストでフュージョン寄りですが、『You Never Know』、『El Becko』、『Space Boogie』はサイモンのドラムでロック色の強い楽曲になっています。

Candyman(1994)~スティーブ・ルカサー
TOTOに正式加入する直前に参加した、スティーブ・ルカサー2枚目のソロアルバム。こちらはインスト曲もありますが、ルカサーのギターが前面に出たロック色の強いアルバムです。ロックフュージョン的な疾走感のある『Hero With A 1,000 Eyes』、『Never Let Them See You Cry』やフュージョンインストの『Party In Simon’s Pants』、ブルースロック『Extinction Blues』など随所にサイモンのドラムが散りばめられています。

Major Turn‐Round(2000)~TM‐NETWORK
TM-NETWORK再始動後初のアルバム。当時サイモンは多忙であったが小室哲也氏からの強い希望により参加。ドラムパートのレコーディングを1日半で完成させたそうです。小学生の頃から好きだったTMの再始動ということで購入したCDでしたが、『IGNITION、SEQUENCE、START』のドラムはTMらしい打ち込みではなく生ドラムの音。30分近いプログレ的な組曲『Major Turn‐Round』でのドラムの組み立て方(癖?)に気づいてクレジットを見てみると「ドラムス:サイモンフィリップス」の表記に納得したのと好きなアーティスト同士の共演が嬉しかったのを覚えています。

現在も自身のプロジェクトとしてアルバム制作、ワールドツアーを行いながら他アーティストとのセッションに参加したりと精力的に活動しているサイモンから目が離せません。

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